「ポルトラノ」とは本来イタリア語で、航海のための案内書を意味しており、その書の中には海図が挿入されていました。後にその海図が発達しながら数多く作られるようになり、ポルトラノは航海用の海図を意味する言葉として定着しました。ポルトラノ海図は13世紀に製作が始まったとされ、中国から伝わった羅針盤が地中海で改良されて使用されるようになったことと関連しています。羅針盤の盤面に描かれているのと同じような華やかなデザインの方位盤(コンパスローズ)がいくつも描かれ、そこから伸びる放射状の32本の方位線網が特徴です。航海者たちはこの方位線の方向を航程線として航海したのです。16世紀にポルトガルやスペインで製作されたポルトラノ海図が数多く現存しています。
ベルデ岬諸島(17世紀:オランダ)
アフリカ大陸西端のベルデ岬(現セネガル)の西方に浮かぶ諸島
現在のカーボベルデ共和国
(カーボベルデ1988年発行) →切手解説ブログ
バティスタ・アニェーゼ作(16世紀中頃~:ヴェネツィア)
アメリカ大陸の西岸は一部しか描かれていない
アニェーゼはマゼランの世界一周航路を記載した世界図も製作している→切手解説ブログ
(バチカン1992年発行)
コンパスローズ
ポルトガルの地図学者ディオゴ・オーメンが1558年に制作した
ポルトラノ海図に描かれた方位盤(コンパスローズ)
(中国マカオ2013年発行)
ジョアン・フレイレ作(部分)(1546年:ポルトガル)
16世紀のポルトラノ海図の代表作
アフリカギニア湾の部分 沿岸に数多くの地名が記載されている
大きな建物はポルトガル国王ジョアン二世が築いたエルミナ城砦
(ポルトガル1997年発行) →切手解説ブログ
ラザロ・ルイス作(1563年:ポルトガル)
16世紀のポルトラノ海図の代表作
沿岸部に数多くの地名が記載され重要港湾は赤字で示されている
中央部の方位盤(コンパスローズ)は32方位を示す
(ポルトガル領マカオ1990年発行) →切手解説ブログ |
ポルトラノ海図